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失火責任法の概要

失火責任法をご存知でしょうか?

簡単にいうと、

✔ 火元に賠償責任が生じないということです。(重過失は除く)

失火責任法について事例を紹介

具体例をお伝えします。

自分の家に隣家から火が燃え移ってきた。

自分の家が全焼してしまった。

火元に対して、被害者が家の修繕資金等の賠償請求をした。

<想定:6戸のマンション>
図で表すと、下記のような感じです。

301 302     303
201 (被害者)   202 (火災発生) → 203(被害者)
101 102 103

類焼により被害を受けた201号室及び203号室の方が、
202号室の方に対して、部屋の修繕資金の賠償請求をしたところ、

 202号室の人(火元の人)は、被害者に対して賠償する責任が無いので一切の補償をする必要がありません。(重過失が無いケースを想定)

つまり、被害者は泣き寝入りになります。

私は実務経験の中でこんな事例がありました。

Aさんのマンションの1室がお客様でした。
そこでAさんは、ガスストーブの近くで洗濯物を干してました。
その後、洗濯物に引火し火が出ました。
何とか火を消そうと玄関にある消火器を取ろうと動いたところ、
その間に火が部屋全体に広がってしまいました。
近くに、消防署があったので、すぐに消火してくれたおかげで、
隣家に奇跡的に類焼はありませんでした。
但し、消火活動に伴う水濡れの被害が上下左右の家に被害があり、被害状況としては、その部屋で一定期間住めなくなってしまったこと、家財が水濡れてしまったこと、といった大きな被害がありました。
被害額は、数百万円から数千万円にまで及びました。

類焼により隣家と発生するトラブルのご紹介

こうしたケースでは、
まず消火活動に伴う水濡れの被害についても火災保険の対象となるため、被害を受けた方は、火元に請求するのではなく、自分が加入をしている火災保険の担当者に連絡をします。

火災保険で補償が出来たのは、下記でした。

・濡れた家財に対するクリーニング費用
・クロスの張替え費用

火災保険では、財物の損傷に対する保険であるため、住めなくなってしまった期間のホテル代などを補償することは出来ませんでした。

隣家の人はとてもお怒りになり、火元の人に請求しホテル代を払ってもらったそうですが、火元の人は法的に払う義務はないので、実際に被害者は補償してもらうことが出来ず、泣き寝入りしているケースがほとんどです。

火災保険の必要な理由とは?

火災保険がなぜ必要なのか?といったことが良くわかる事例ではないでしょうか

日本では「失火責任法」があるために、
自分の身は自分で守らないといけません。

だから、火災保険が必要なのです。

因みに、失火責任法が生まれた理由は日本には古来、長屋が多くあり、
長屋の1軒が燃えると、それが広がり大きな類焼損害となります。
そうした中で、火元に賠償責任があるとしてしまうと過大な請求が行ってしまいます。だから、日本には失火責任法が生まれています。